お客様が欲しいものはモノではなく未来

 高松 陽子

高松 陽子

2025.12.12
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セールスライターとして多くの方と対話する中で、自分では気づけなかった視点やアイデアに何度も出会ってきました。その一つひとつが、私の仕事への考え方も変えてくれました。今回、その中でも私のビジネス観を根本から塗り替えた言葉をご紹介します。

お客様が買うものは「モノ」ではなく「未来」

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この言葉は、私が深く尊敬する経営者の方から教わったものです。正直なところ、最初に聞いたときは意味がつかめませんでした。少しずつその意味を理解し、お客様の内側にある感情を丁寧に見ていくうちに、商品の見え方も、ビジネスの捉え方も大きく変わっていきました。今、この言葉を私がどのように制作に生かしているのかを深堀していきます。

商品・サービスのお話を聞くことが大好き

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私は、経営者さんから商品やサービスの話を聞くことが好きです。商品・サービスの特長、開発の経緯、乗り越えてきた苦労、解決したい課題、商品への想い…まるで目の前で『プロジェクトX』が展開されているような感覚になります。そして話の端々から、 「この方はどんな価値観で働き、どんな人生を歩んできたんだろう」、そんな生き方まで見えてくるのです。
これは、看護師をしていた頃から変わりません。私は患者さんのお話を聞くのが大好きでした。経営者さんの話も、患者さんの話も、その方の人生の断片に触れられる喜びがあります。

「もったいない」という想い

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そんな私がお話を伺う中で思うことは、「こんなに素晴らしい商品やサービスなのに、自己紹介やスライドでの説明になると、特長の説明だけで終わってしまうのはもったいない」ということ。

スペックも大事ですが、
「どんな想いで作ったのか」
「どんなお困りごとに役に立てるのか」
「どんな未来を届けたいのか」
その言葉に、人の心を動かす力があると考えています。

例えば、スーパーで同じ農家さんが栽培したトマトを売っています。
Aスーパーでは「○○産トマト」とポップがあります。
Bスーパーでは「○○さんちの畑で育った○○トマト」と表示があり、その下に、「トマトが嫌いな子どもたちも「甘くておいしい」「また買ってきて」と喜んで食べてくれるトマトです。フルーツのような糖度を目指して、土づくりからこだわって作っています」とメッセージが添えられています。

同じトマトでもBスーパーの方が特別なトマトに見えるはずです。一言添えてあげるだけで、消費者の目に商品は魅力的に映ります。

あなたのお客様が求める「未来」を知っていますか?

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私も自分が提供しているサービスが大好きです。だからつい、特長を一生懸命伝えたくなってしまいます。

でも、お客様が本当に欲しいものはモノではありません。その先にある「未来」です。

有名な本に『ドリルを売るなら穴を売れ』という本があります。お客様はドリルそのものではなく、「穴が開いて問題が解決した未来」を買っている、というお話です。

例えば、

・ゴルフスクールなら欲しい未来は「もてたい」「コンペで優勝したい」「若い人に負けたくない」
・ファンデーションなら欲しい未来は「好きな人に至近距離で見られてもきれいでいたい」

など。

私自身、商品やサービスが売れなかった時には、ドリル(モノ)の説明ばかりしていました。しかし、見方を変えて「人間関係に悩んでいる方」「健康に悩んでいる方」などそれぞれの悩みに合わせた穴(未来)を発信することで、売り上げが5倍になった経験をしました。

自己紹介も、営業も、商談も、本質は同じだと思っています。

相手が叶えたい未来を知り、その未来へ向かうための手段として、商品・サービスを提示すること。未来が見えた瞬間、人は動きます。共感して、ワクワクして、その商品・サービスが欲しくなるのです。

言葉の裏にある「本当の願い」をかなえたい

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商品・サービスは、困っているお客様を幸せにするために生まれています。だから大切なのは、お客様が口にする「悩み」や「要望」の表面だけではなく、その裏側にある本当の願いを読み取ることだと思っています。

・本当は何に悩んでいるのか
・何に困っていて、何を諦めかけているのか
・その人はどんな未来を望んでいるのか

そこが見えたとき、商品はモノではなく、人生を支える存在へと変わっていきます。ここはまだAIには踏み込めない、人の力が必要な部分です。

私はこれからも、自分が得意とするリサーチと言語化で、経営者さんの願いに寄り添いながら、商品・サービスで得られる「未来」を届けていきたいと思っています。

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