健康は、体だけでなく心と深いかかわりがある

飯髙 裕子

飯髙 裕子

2025.10.25
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グルテンフリーのお菓子づくりをされている飯髙裕子(いいだかひろこ)さんの連載コラム第2弾です。アレルギー体質として生まれ、薬にも頼れなかった。そんな自分の身体と向き合う中でわかってきたのは、「心と腸の深いつながり」でした。今回は、グルテンフリー生活を通して見えてきた“腸と心の関係”について、飯髙裕子さんが自身の体験を交えて語ります。

アレルギー体質の自分を振り返ると

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グルテンフリーのお菓子を作るようになって、いろいろなことを学ぶようになったというよりも、もともと関心のあったことが次々につながっていったというのが本当のところかもしれません。

小麦粉にアレルギーがあったわけではないのですが、元々アレルギー体質であった私は、昔からそれを直すための方法をいろいろ模索していました。

そのアレルギーの形は年齢を重ねるうちにその時々で形を変え、そのたびに対症療法を試していました。

けれど、薬に対してもアレルギーがあり、市販の薬は飲むことができないので、漢方薬や、体の自然治癒力を高めることに注目するようになりました。

ある時、手の指にひどい湿疹が出て家事に支障をきたし、病院に行ったことがありました。
その時処方されたステロイドの薬を一度塗ったら湿疹がかなり引いて、逆に怖くなったのを覚えています。
こんなひどい症状を瞬時に治すっていったいどんな強い薬なのだろうかと…
その時から、体の中から出てきたものは、体の中に原因があるということを考えるようになりました。

その時のことを思い返すと、かなりのストレスが自分にかかっていたことは確かです。
その頃から心と体の関係についていろいろ勉強することが多くなりました。

心と密接な関係にある腸

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特に心と密接な関係があるのは、腸であるということがだんだんわかってきました。

腸は、第二の脳と呼ばれるほど、体の機能にかかわる組織です。

生物の始まりは、腔腸動物という腸から成り立つ生物でした。
それが次第に進化して様々な生物が誕生し、私たち人間は、この地球上では脳が大きく進化している生物とされています。
この脳が機能するために必要な栄養分はいったいどこから摂るのでしょうか?
そうです。私たちが毎日口にする食べ物、そしてそれを消化吸収する腸が供給しているのです。

最近の研究では腸内環境、つまり腸内細菌の働きについて、かなり詳しいことがわかってきています。
【脳腸相関】、脳と腸は互いに信号をやり取りして私たちの心と体のバランスをとっているということですが、誰にでもこれは経験があることだと思います。

例えば、すごく緊張した時にお腹が痛くなったり、悲しいことや辛い事があった時に食欲がなくなったり。
逆にうれしい事楽しいことがあると、体の調子が良くなったり、人それぞれではありますが、心と体が密接な関係にあることは、多くの人が感じていることだと思います。

さて、そうなると、この大切な腸の中に入るものは、いったいどんな影響を体に与えるのでしょうか?
つまり、食べるものの種類が、腸内細菌に影響を与えるということなんです。

腸内細菌というものは、人によってすべて違っているもので、全く同じという人はいないそうです。
まるで指紋のようだなと思います。

その人の生活環境や、人種、食べるものなど、多種多様です。
その中でも日本人はその祖先の食文化から受け継いできた遺伝子によって腸内細菌が好む食べ物の傾向があるようです。
農耕民族として進化してきた日本人は穀物や海の幸を多く摂取してきたことから、海産物や炭水化物などを消化しやすい腸内細菌が多いと言われています。

最近の日本人の食文化は、欧米のものも多くなり、和食、洋食、中華と様々な食べ物を選択できるようになっています。
そしてその素材自体も、昔とはずいぶん成分も変わってきているようです。

アレルギーを引き起こしているのは

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食物アレルギーは、小麦粉だけでなく、卵や、乳製品、甲殻類にナッツ類、果物などたくさんのものがありますが、腸内細菌に影響を与えることが多い事と、今市販されている食べ物のほとんどに使われている小麦粉に関しては、研究されることや、その論文も多く見られます。

小麦粉の中に含まれるグルテンというたんぱく質、これはその性質によって、パンや、ケーキ、麺類などをおいしく仕上げるためによく使われているものです。

この粘る性質が人によっては、腸に張り付いて消化を妨げたりすることがあるようなのです。
もちろんグルテンは細胞に必要なたんぱく質を手軽に摂ることができますし、その性質でおいしい食品を作ることもできる素材です。

問題となるのはその摂取量であり、摂りすぎたために、体が受け入れられる量を超えてしまったということなのかもしれません。
または、腸内細菌に与える影響から、体が過剰に反応しているということも考えられます。
いずれにしても、小麦粉を摂ることでアレルギーの反応が出る方はそれを摂らないことがアレルギーを起こさない一番早い解決方法だと思います。
そして、小麦粉を摂ったからと言って顕著な反応が出ない場合。

これが自分でも気が付かないうちに必要以上のグルテンを摂取している可能性があることも見逃せない事実なのです。

アレルギーと気が付かないうちに体の不調が出ている、それも病院に行くほどのものではなく、何となくすっきりしない程度のもの。
これが例えば、小麦粉によって身体に影響を与えているとしても、気が付かないことの方が多いと私は考えています。
それを少しでも軽減させることができたらという想いで、私はグルテンフリーのお菓子を作るようになりました。

どんな人も好きなものやおいしいものを食べることは幸せな気持ちになるものです。
身体と心が健康であるために役立つ情報を、少しずつコラムでお知らせできたらと思っています。

https://www.pexels.com/ja-jp/photo/5841803/(腸の写真引用元)