
肌は内臓の鏡!まだ間に合う、秋の美容は「食養生」から美養へ

「オーガニッククコの実」の先駆ブランドとして展開する株式会社八仙(はっせん)の代表取締役を務める野々口明瞳(ののぐちあけみ)さん。現在は「四魂養生」(心が生きて命を養う)の理念を軸に、次世代につなげる養生食を展開し、雑誌『VEGGY』や各種メディアで養生やオーガニックライフの実践を紹介しています。今回は、秋の美容をテーマにお話を伺いました。
「あれ?!なんだか顔が疲れてる?」と鏡の中の自分を見て感じることありませんか?
それ、季節の変わり目によくあることですが。。。
実はその“くすみ”や“乾燥”は、肌自体の問題ではなく内臓からのサインかもしれません。
養生の考えでは「肌は内臓の鏡」と言われ、体の中の滞りがそのまま外に映し出されることがあります。秋の今こそ、体本来が持つ養生力で内から輝きを取り戻すチャンスです。
肌の不調は“心と内臓”の声

朝、鏡に映る肌の色が少し冴えない――
その原因を「寝不足」「乾燥」と片付けていませんか?
養生の世界では、肌のトラブルは単に表皮の問題ではなく、内臓(五臓六腑)の不調の“現れであり、体内状態を映す鏡だとされています。
秋は空気が乾き、肺が弱りやすい季節。肺は「皮毛を司る」とされ、皮膚と体表のバリア機能を支配しています。肺の気(エネルギー)が弱ると、肌は乾燥し、弾力を失い、くすみが出やすくなると考えられています。また、呼吸が浅くなることで酸素と血の巡りが滞り、顔色が暗くなるとも。
内側から“潤い”を取り戻す秋の食養生

そこで、潤いの季節ケアに欠かせないのが、肺を潤す食材。分からないときは旬の食材を選べばいいのです。例えば、今旬の梨、他に白きくらげ、クコの実――これらは乾燥で失われた水分を内側から補う“潤肺食”です。
特にクコの実は、目と肌の粘膜を守るゼアキサンチンや血を養うポリフェノールが豊富。
白きくらげ(銀耳)のとろみは“天然のヒアルロン酸”と呼ばれ、津液を補う象徴的素材。
さらに、肺を潤す梨も旬の果実なので、温かく召し上がれば、冷え始める秋にぴったりです。
梨と白きくらげとクコの実のデザートスープ(2人分)
【材料】
・ 梨:1個(中サイズ) ・乾燥白きくらげ(銀耳):5g ・クコの実:約6〜8g
・はちみつ:20〜30g(好みの甘味料で甘さを調整) ・水:400ml ~
【作り方】① 白きくらげは水で戻し、硬い芯を取り除き、手で小さめにちぎる。 ②梨は皮をむき(皮つきでもOK)、種を除いて一口大にカット。③ 鍋に水と白きくらげを入れ、中火で煮て柔らかくする。 少なくとも1時間以上煮込むのがベスト。④梨を加え、さらに10分煮る。⑤はちみつとクコの実を加え、弱火で5分ほど煮る。⑥火を止めて盛り付ける。
温かいままでも、冷蔵庫で冷やしてもOKです。秋の乾燥対策や美養生にぴったりの組み合わせです。
“動く”ことで巡りを生む「動養生」

食べたら動きましょう。運動とは「運」を動かすこと。動かなければ、体内の動きも気の動きも停滞してしまいます。
「動は陽、静は陰」。秋は“陰”が強まり、体が内にこもりやすい季節だからこそ、意識的に陽=動きを取り入れることが大切です。激しい運動でなくていいのです。
朝、5分のストレッチ。通勤中のウォーキング。夜、窓を開けて3回の深呼吸。
それだけで肺が広がり、体内の気が巡り、血色が変わります。
ポイントは、「呼吸のリズムを感じる動き」。ヨガ、気功、ゆるウォーク。
体の中を風が通るようなイメージで動くと、自然と心も軽くなりますよ。
肌が変わると、心も変わる

秋のケアは、外側を魅せる“美容”ではなく、内側を整える“美養”です。
食と動を整えると、肌が呼吸し、気分が柔らかくなり、心の余白ができると、表情が変わります。
「肌がきれいだね」と言われたとき、それは単にスキンケアの結果ではなく、内臓が整い、心が晴れた証。美しさとは、体と心が調和して初めて宿る“現象”なのではないでしょうか。
まだ間に合う、秋の美養生
秋は、ジッと動かず耐える季節ではなく、“蘇り整える季節”。
一度乱れたリズムを取り戻すには、ほんの小さな意識から始められます。 “肌は内臓の鏡”。あなたの肌が今日、何を語っているかを、どうぞ丁寧に聞いてあげてください。
