
スマホ時代の目を守る、小さく赤い伝統果実くこの実のチカラとは

「オーガニッククコの実」の先駆ブランドとして展開する株式会社八仙(はっせん)の代表取締役を務める野々口明瞳(ののぐちあけみ)さん。現在は「四魂養生」(心が生きて命を養う)の理念を軸に、次世代につなげる養生食を展開し、雑誌『VEGGY』や各種メディアで養生やオーガニックライフの実践を紹介しています。今回は、生薬素材の魅力や今後の展望についてお話頂きました。
オーガニック生薬素材と事業の原点

私どもの会社は、オーガニックの生薬素材を中心に取り扱っており、くこの実を主力商品として展開しています。仕入れは中国をはじめとしたアジア各国から行っており、「体に良い食養生を届ける」という理念のもと、オーガニック認証を基本としてできる限り添加物や不要な成分を排除した安心できる素材を提供しています。また、多様性が重視される時代に合わせて、一部商品にはハラール認証やコーシャ認証を取り入れ、幅広いお客様のニーズに応えています。
事業の原点は、先代である母の思いにあります。母は中国と日本にルーツを持ち、東洋医学と西洋医学の双方に通じた医療従事者でしたが、自身が体の弱さに悩み、薬に頼る生活を続けていたことから、「食べ物で健康をつくりたい」という思いを強めました。食べ物が身体をつくるという「医食同源」の考えを基盤に、薬の代わりにおいしく続けられる健康食品を探し求める中で出会ったのが、くこの実でした。小さくて赤く、可愛らしい見た目に加えて、食べやすさと豊かな栄養価を兼ね備えたこの果実との出会いが、私たちの事業の大きな出発点となったのです。
くこの実の力と現代的価値

くこの実は4000年以上の歴史を持ち、古来より目の健康や美容のために用いられてきた果実です。薬膳の考え方では「肝」と「腎」に働きかけ、経絡を通じて全身に良い影響を与えるとされています。現代科学の視点からも、ルテインやゼアキサンチンといったカロテノイドが豊富に含まれていることが分かっており、特にゼアキサンチンは目の中心部の成分を直接補える希少な栄養素として注目されています。ブルーベリーがアントシアニンによる抗酸化作用で知られるのに対し、くこの実は目に必要な成分をダイレクトに補給できる点が大きな違いです。
当社が販売する「100%有機くこジュース」は、実も皮も種も丸ごと使ったピューレ製法により、濃厚ながら飲みやすく仕上げています。味わいはトマトやキャロットジュースに近く、日本人にも馴染みやすい風味です。長年にわたり多くのお客様にご愛飲いただき、特に目の疲れや紫外線ストレス、スマートフォンやパソコンによる光ストレス対策として支持を集めています。滋養強壮や美容、そして日々の健康維持に役立つ「お守り果実」として、今なお多くの方に親しまれています。
未来へつなぐ食養生の精神

私は当初、一従業員として母の事業を支えていましたが、母の急逝をきっかけに二代目として会社を引き継ぐことになりました。当時は中国製品に対する不信感も強く、オーガニック素材を扱う意義が十分に理解されない時代でしたが、今では「安心・安全」「添加物を使わない」という私たちの理念と社会のニーズが重なり、追い風を感じています。
現在は、これまでのBtoB中心の展開に加え、直接お客様に商品の魅力や活用法を伝える場を広げ、より身近に感じていただける取り組みを進めています。くこの実は、若い世代からシニア層まで幅広く活用できる果実ですが、特に健康の大切さを実感する世代にこそ、薬膳的な効果や栄養価を体感していただきやすいと感じています。私たちは「くこの実といえばこの会社」と思っていただける存在を目指し、先代が大切にした「食養生」の考え方を未来に継承していきたいと考えています。古来の人々が自らの身体で確かめ、長い歴史を通じて受け継いできた知恵を現代に伝えることは、大きな価値があります。
私自身は決して強い人間ではありませんが、周囲のポジティブな仲間や家族に支えられ、明るい環境の中で挑戦を続けています。これからも、自然の恵みを活かした健康づくりを通じて、多くの方々の元気と笑顔に貢献していきたいと思います。
