
ママクリエイターの指南書 Vol.4 〜失敗から学ぶ!動画制作の苦労とその解決策〜
江田可愛(えだかあい)さんは「PORIN合同会社」を設立し、クリエイターチームを率いるクリエイティブディレクターとして活躍中です。「クリエイターやママが経済的に自立できる環境をつくりたい」と語る、江田さんのママクリエイターの指南書の第4回目をお送りします。
1. はじめに 〜 失敗こそ、最高の学びの場 〜
動画制作を仕事にして数年。未経験からスタートした私にとって、「失敗」は避けて通れないものでした。 しかし今では、その失敗のひとつひとつが、チームの成長、クライアントとの信頼関係、そして自分のスキルアップに大きくつながっています。
今回は、私自身が経験してきた“ちょっとヒヤッとした失敗談”や“もがきながら乗り越えた瞬間”を共有しながら、ママクリエイターとして仕事をするうえでのリアルな「学び」をお伝えします。
2. 納期へのこだわりと、裏側での奮闘
まず自信を持って言えるのは、「クライアントに対して納期を守れなかったことは一度もない」ということ。
ママクリエイターにとって、“納期の余裕”は命。 なぜなら、子どもが突然熱を出したり、保育園から呼び出されたり、予測できないことが日常だからです。
だからこそ、チームでは常に“逆算スケジュール”を組み、
- 編集担当がいつ仕上げるか
- ディレクターがいつチェックするか
- クライアントへいつ納品するか
を事前に細かく決め、前倒し前提で動いています。
でも……その裏側ではやっぱりバタバタ。
案件が重なったときや、夏休み・子どもの発熱などが重なると、 「誰をアサインする?」「この案件どう引き継ぐ?」と、チーム内の調整が大混乱することもありました。
あるときは、別のメンバーが途中から入ったことで編集テイストにズレが出てしまい、 クライアントから「前と雰囲気が違いますね」とご指摘をいただくことも。
この経験から学んだのは、
- チーム内の情報共有と引き継ぎの精度を高めること
- “なんとなく伝わってる”は危険。細かく擦り合わせること という“裏側の連携”の大切さでした。
3. デザインの“イメージのズレ”に悩んだ日々
もう一つ印象的だったのが、デザインでのすれ違い。
クライアントの頭の中にある「理想のデザイン」を引き出すのは、本当に難しい。 何度も「こんな感じですか?」「違います……」というやり取りが続き、 お互いに少し疲れてしまった時期もありました。
でも、そこから学んだのは、
- ビジュアルで擦り合わせることの大切さ
- 初期段階でしっかりヒアリングとサンプル提示を行うこと
今では、「こんなイメージありますか?」「過去の事例で近いものありますか?」と、 視覚で共通認識を持つことを意識するようになり、やり取りがスムーズになりました。
4. 初めての“イベント映像表現”で感じた壁と学び
初めて“壮大なスケール感”が求められる映像制作に挑戦したときのこと。 映像とBGMは良い。でも、文字やエフェクトの出し方で悩みまくったんです。
頭の中では「もっとドラマチックにしたい」と思っていても、 技術的に“どう出せばそれが伝わるのか”が分からず、何度も試行錯誤。
そんなとき、クライアントが「こういう演出ツールもありますよ」と教えてくれ、 まさかの“学び”が生まれたんです。
- プロだからこそ、クライアントからも学べる姿勢を持つこと
- 知らないことは恥じゃない。むしろ素直に吸収することが成長への近道
この経験を通じて、今では制作の初期段階から「この演出で伝えたいことは何か」を丁寧にすり合わせるようになりました。
5. 問題は、放置しないことが一番の解決策
私が一番大事にしているのは、「その場で立ち止まって、みんなで向き合うこと」。
問題が起きたときに、 「まぁ今回は仕方ないか」で終わらせるのではなく、
- 何が原因だったのか?
- どうすれば防げたのか?
- 次に同じことが起きないために、何を整えるか?
- を、その場ですぐチームみんなで話し合います。
その場しのぎにせず、マニュアルに残したり、メモをとったり、小さな積み重ねを大事にしてきました。
トラブルが起きたときほど、チームのコミュニケーションを深めるチャンス。 放置せず、前向きに向き合うことで、確実に成長できることを実感しています。
6. 今だから笑える、当時は焦ったエピソード
ある案件で、クリエイターがクライアントと直接やり取りした際、 その“言葉の選び方”が合わず、担当変更を求められたことがありました。
これは「自分がやらなくても大丈夫」と判断した私のミスでもあります。
人と人との関係だからこそ、
- クライアントの性格や希望を理解すること
- クリエイターの得意分野や性格を見極めて配置すること がとても重要だと痛感しました。
ママチームは、スキルも性格も多様です。 「制作は得意だけど、クライアント対応は苦手」というメンバーもいます。 だからこそ、得意を活かして、弱みを補い合うチームづくりが大事なのです。
7. 苦労の数だけ、チームの強さに変わる
正直、案件が重なれば、睡眠時間を削る日もあります。 でも私たちは、お客様に納品するものには一切妥協しません。
価格以上に、「今の自分たちのベスト」を出し切るという姿勢で、いつも向き合っています。
ママチームで活動しているからこそ、
- 子どもが急に熱を出した
- 家庭の都合で動けない
なんてことも日常茶飯事。
でもその分、
- 得意なことを持ち寄って支え合える
- アイデアがかけ合わさって、より良いものが生まれる
- 一人では気づけない視点で、作品の質がグッと上がる
という強みがあります。
苦労の数だけ、チームの絆が深まり、 「一人でつくるよりも、もっと良いものを、みんなでつくろう」 という空気が、今の私たちを支えてくれています。
8. まとめ 〜失敗は、仲間と成長するための宝物〜
今回お伝えしたエピソードのどれもが、最中は大変で、焦って、悩んで、迷って……。 でも、ひとつも無駄なものはありませんでした。
失敗や壁は、
- 「自分たちはもっと良くなれる」というチャンスの入口であり、
- 「誰かと一緒に成長していく」きっかけでもある。
それはきっと、子育てとすごく似ていると思うんです。
悩んだとき、一人でネットを検索をして落ち込むよりも、 リアルなママの声に救われた経験があるように、 仕事でも「誰かと一緒に」だからこそ乗り越えられる瞬間がある。
✨ 失敗しても、諦めなければ成長につながる。
✨ 仲間がいれば、どんな壁も越えられる。
このコラムが、今チャレンジしているママさんにとって 「私もがんばってみよう!」と思える小さな背中押しになれたらうれしいです。
