経営者対談

一般社団法人 日本ほめる達人協会 理事長
「西村 貴好」× 嶋村吉洋

一般社団法人日本ほめる達人協会、西村 貴好さんにインタビューさせていただきました。

西村さんは日本ほめる達人協会の発起人であり、第1号の「ほめ達!」です。

「ほめ達!」は、目の前の人やモノ、仕事で言えば商品やサービス、起きる出来事などに独自の切り口で価値を見つけ出す『価値発見の達人』のことです。

日本の現状として年間2万人を超える自殺者が続いており、その状態を西村さんは物理的な戦争と比較し「心の内戦」状態と表現されています。このような状況を打破し、世の中を明るくしたいという想いでほめ達を世の中に輩出し続けてこられました。

今回は、ほめ達の第一人者として大切にされていることを聞かせていただいたので、最後まで楽しみながらご覧ください。

奥様の体調不良がきっかけで、身近な人を大切にするようになった

インタビュアー:感謝の気持ちを大切にされていると思うのですが、なにをきっかけに大切にするようになりましたか?

西村:以前のわたしは、仕事が一番大事だと思っていました。経済的な成功がなければ家族を守ることができないと思い、多少家族を犠牲にすることも仕方がないと考えていました。

そのため、「家庭の失敗は仕事の成功では補えない」という言葉を教えてもらっても、特に実感がわかなかったのです。

するとある日突然、家内が高熱を出し救急車で運ばれ、2晩にわたって原因不明の発熱が続くということが起こりました。

この時に初めて、「もしかしたら彼女を失うかもしれない!」という不安がわたしの中をかけめぐり、「彼女以上にぼくのことを理解してくれている人はいない」ということに気づきました。

自分の身近な人を大切にできる人になろうと決意をしたのは、この経験がきっかけです。

起業家は理不尽や不条理によって成長する

インタビュアー:人を大切にする行動のなかでも、ねぎらいについてお聞かせください。

西村:「ありがとう」と言うことだけがねぎらいではありません。ちょっとした声かけやアイコンタクトもねぎらいになることがあります。

そして、ほめるときに大事なのは、横にほめるのではなく縦にほめること。

つまり、ほかの人と比べるのではなく、その人自身の過去と比較をするとほめやすくなります。

例えば平均点が70点の試験で60点をとった子が、もし次のテストで63点をとった場合は平均点70点と比べるのではなく、前回の60点から3点上がったことをほめてあげてください。

ただし、これは一般的な社会人の場合であり、これから起業する人にはあてはまりません。

起業家は理不尽や不条理によって一番成長するからです。

とは言っても、いきなり強い球を投げると相手にキャッチする準備ができていないので取れません。

まずはふわっとした球を投げ、心の構えができてからアドバイスという直球を投げると伝わりやすくなります。

心の内戦をなくすために、ほめ達を次世代へと繋いでいく

インタビュアー:ほめ達を広めようと思った理由をお聞かせください。

西村:ほめ達をはじめる前に、うつになった母から死にたいと言われる経験や、2人の友人がほぼ同時に自ら命を絶つ経験をしました。

当時のわたしはお金を稼ぐために必死になって働いていたので、このままでは自分の命も危ないと感じました。

そこではじめたのがほめ達です。

まずは自分の心を守り、さらには世の中の経営者に安心感を、働く人に働きがいを与えるコンテンツとして誕生しましたが、これからの日本社会でも、ほめ達は求められるものだろうと思い広めていく決意をしました。

以前、わたしが師匠と慕っている方に「野望と志の違い」について教えていただきました。

「野望は己一代でどれだけ自分が成功できるか、志は己一代では到底かなえられない大きな願いを実現しようという祈りである」と。

ほめ達を世の中に広めたいというのはわたしの志です。おそらくわたしが生きている間には、心の内戦はなくならないでしょう。

なので、少しでもほめ達の価値観に共感してくれる人を増やし、次の世代へと渡していくことで世の中を変えていきます。

3つの依存先があるとチャレンジできる

インタビュアー:最近はチャレンジしようとする人に対して否定的な意見を言う人も多いと感じていますが、この点をどう感じますか。

西村:たしかに多いと思います。だからこそ、しっかり自立している必要があるなと感じます。

本当の自立とは、カメラが三脚で支えられて安定するように、健全な依存先が複数あることなんです。

家庭、職場、あともう1つあるといいですね。自分の居場所があるんだという安心感があると、チャレンジしやすくなります。

ほめ達は安心、安全な場所、コミュニティを提供していますし、チャレンジの場でもあります。

伝えたいこと、叶えたい想いがあるほどチャレンジできる人間になる

インタビュアー:新たなことにチャレンジできる人間になるにはどうしたらいいでしょうか?

西村:よく世界平和といいますが、もっと大事なのは心の平和です。

ほめ達では半径3m、声や表情がとどく範囲の心の環境整備を推奨しています。

そのためには半径15cmの環境整備、すなわち自分の心の環境整備が不可欠です。

本能に負けずに、少しでも”人としていい存在になる”ことが心の平和をもたらします。

人は頭を持ち上げることで2足歩行になり、手を使って道具をあつかうようになりました。

ただ、心が4足歩行のままの人も多いです。4足歩行だと手が使えないので噛みつくわけです。

動物と比べて、人間は脳が発達しているため頭が重いです。さらに、責任感や成し遂げたいことがあると余計に重くなります。すなわち、伝えたいこと、叶えたい想いがあるほど心がマッチョになり、チャレンジできる人間になるのです。

インタビュアー:チャレンジしたいけれども、なにに挑戦したらいいかわからない人はどうしたらいいですか?

西村:打ち込めるものがある人は幸せだと思います。世の中には打ち込めるものが見つからず、そのことから目をそむけている人が多いですから。

ほめ達でも伝えていますが、ほめることの究極は命に対する感謝です。

世の中に”絶対”はなかなかないと思いますが、死は必ず訪れます。

とはいえ、死を恐れていても仕方がない。いまを生きていると言えるかどうかが重要です。なので、打ち込めることがある状態は本当に幸せなのです。

もし、打ち込みたいことが見つからないのなら、なにかに打ち込んでいる人を応援するといいです。

勇気を出して1歩踏み出し、新しい世界に踏み込んで刺激を受けると人生が変わっていきます。

まずは自分が自分の可能性を信じろ!

インタビュアー:最後に、ビジネスや事業にチャレンジして成功したいと思っている人へメッセージをお願いします。

西村:まず伝えたいのは、「自分で自分の可能性を信じなかったら、だれが自分の可能性を信じるんだ!」ということです。

いろいろなことに挑戦すると障害にぶつかります。それを”傷”にするのではなく”気づき”にしてください。傷だらけではなく、気づきだらけの人生にしていきましょう。

ほめ達は種を蒔く生き方を教えています。重要なのは、蒔いたことを忘れるくらい蒔きつづけること。

目の前にあることに集中し、自分を信じて種を蒔きつづけていればいずれ収穫の時期がやってきます。


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