株式会社OSUSO
新田拓真 × ワクセル
株式会社OSUSOの代表取締役、新田拓真(にったたくま)さんは、東日本大震災の経験を基に、「おすそわけ」という日本の文化をビジネスの形で社会貢献に活かすというユニークなアプローチを実践しています。新田さんの挑戦がどのように始まり、どんな未来を見据えているのかをまとめました。
「おすそわけ」がつなぐ社会貢献
住谷:本日は「おすそわけ」を通じた社会貢献を掲げる、株式会社OSUSO代表の新田拓真さんにお越しいただきました。早速ですが、新田さんがこの活動を始めるきっかけは何だったのでしょうか?
新田:きっかけは東日本大震災でした。自分の地元が被災して、物資が届かない時期が続いたんです。そのとき、日本人が自然と助け合う姿を目の当たりにして、「おすそわけ」という文化が心に深く刻まれたんです。危機的な状況で人が奪い合うのではなく、支え合う姿勢が、日本人の中にしっかり根付いていると感じました。
この経験が今の活動につながっており、おすそわけの文化は、社会課題の解決に役立てられるのではないかと考えるようになったんです。「おすそわけ」の気持ちは災害時には自然と出るものですが、日常生活の中でももっと社会貢献に活かせると思うのです。
お金だけではなく、たとえば余ったポイントや使っていないもの、時間さえも「おすそわけ」ができるんです。私たちはOSUSOのサービスを通じて、それを可視化できるようにしています。自分の貢献度が見えると嬉しくなり、さらに「おすそわけ」が加速していく。これをさまざまな企業と連携して、その会社の従業員の方々が日常的に社会貢献を行えるようにしています。結果として、企業のSDGs経営にもつながり、社会全体の文化として根付くようにしたいと考えています。
寄付や支援って一見ハードルが高いように思われがちですが、日常生活の中で自然と社会貢献できる環境をつくっていきたいのです。それが「おすそわけ」の価値を最大限に引き出す方法だと僕は思っています。
「エンタメ×SDGs」の新しい形
住谷:楽しみながら参加できる工夫があると、社会貢献のハードルが下がりそうですね。
新田:おっしゃる通りです。OSUSOのコンテンツではエンタメと社会貢献を結びつけています。これにより、「知る→共感する→行動する」という流れを自然につくり出せます。社会課題を知る機会が少ない方でも、エンタメ的な要素があると、関心を持ってもらいやすくなりますし、体験を通して共感が生まれると感じています。
この「共感」こそが、次の行動のきっかけとなるんです。
たとえば、SNSでシェアしてくださる方が増えたり、自分が支援したことを喜んで発信してくれます。そして、その発信を見た人が「こんな支援があるんだ」と知ることで、多くの人たちが興味を持ってくれる。この循環がとても大事で、やはりエンタメはその点で力があるなと感じています。今まではメディアと寄付とは全く別のサイトとして存在していましたが、それを繋げていくことで、知るところから行動までの流れができるんです。
また、エンタメを通じて課題を知ることで、「支援がもっと身近で楽しいもの」というポジティブなイメージを持ってもらえるのも大きな収穫です。
住谷:エンタメ要素が加わることで、社会貢献が身近で楽しいものに変わるわけですね。
新田:私たちのメディアでは、単に支援の方法を提供するだけでなく、SDGsのような難解なテーマも、エンタメを通じて楽しみながら理解してもらえるように工夫しています。たとえば、おすそわけを通じて支援先や課題の背景をストーリー仕立てで伝えるなど、「誰かを助けることが日常の楽しみの一部」という文化を日本から世界へ広げていきたいと考えています。
「おすそわけ」から見える未来のビジョン
住谷:最後に、新田さんが描く今後のビジョンについてもお伺いしたいです。
新田:今後は、企業や個人の行動がより一層「見える」形で社会に貢献できる仕組みづくりを進めていきたいですね。「おすそわけ」というとどこか身近で親しみがあり、相手を気遣う心が自然と感じられますよね。「おすそわけ」が広がることで、寄付や支援がもっと日常に溶け込み、特別なことではなく「当たり前の行動」として根付くことを期待しています。
また、OSUSOのプラットフォームを通して、支援者が自分の貢献がどのように役立っているかを見届けることができるようにしたいと思っています。自分の行動が誰かのために役立っていることが実感できれば、それがさらに次の支援につながる。こうして支援の輪がどんどん広がっていくことを目指しています。
「おすそわけ」を通して支援活動が生活の一部になり、日常的な行動が社会課題の解決につながるような文化をつくりたいです。そのためには、まずは日本国内での認知を深め、いずれは「おすそわけ」という日本発の言葉が、世界中で人々をつなぐ合言葉のように親しまれることを夢見ています。
※本トークセッションの内容を動画でご覧になりたい場合は下記で視聴できます。
◼新田拓真さん
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