五反田のパワースポット『岡崎写真館』が一枚の写真に賭ける思い
岡崎写真館で3代目として活動を続けている伊與田彰(いよだあきら)さん。昭和4年に五反田で開業し、もう少しで100周年を迎えます。伊與田さんは東京・五反田育ちで、祖父・父がつくり上げてきた町の写真館をしっかり守って継承、発展させるために努力し続けています。そんな写真館の魅力や今後の展望についてお話しを伺いました。
大切に永久保存する写真
情報時代に突入し、誰もが簡単に高品質な写真を手に入れることができるようになりました。七五三や成人式などの記念写真も、新しい撮影スタイルの写真スタジオが主流となっており、長年街にあった写真館は少しずつ閉店しているのが現状です。
私は富士フイルムの関連会社に20年間、営業技術系として勤務してきました。当時はフィルムの時代で、カメラマンとして活動し、多くの写真家から撮影技術を学びました。富士フイルムが写真事業から撤退し、化粧品事業への転職の打診も受けましたが、家業の写真館への思いと、父親の体調不良を受けて家業を継ぐことを決意しました。
店名の「岡崎」は地名に由来しており、お客様からはよく「岡崎さん」と呼ばれますが、実際の名前は伊與田です。岡崎写真館は、ただの写真を撮る場所ではありません。思い出を残す場所として、地域と密着し、人々から愛され続けています。
写真は大きく分けて2種類あると考えています。「人に見せる写真」と「大切に永久保存する写真」です。SNSの時代には、多くの人に素敵な写真を撮ってみせるのが一般的ですが、大切な家族の写真や集合写真など、永久保存したい写真も多くあります。
岡崎写真館で撮る写真は、その人が大切に思う姿を永久に残すものとして、撮影を続けていきたいと思っております。
代々受け継がれてきた『ガラス乾板写真』
『ガラス乾板』とは、感光する写真乳材を無色透明のガラス板に塗布したもので、そのガラス板に被写体を写します。
デジタルカメラが簡単に美しい写真を撮ることを可能にしている現代において、労力や時間、そして技術を要する『ガラス乾板写真』を取り扱う写真館は、全国でも少なくなってきています。
しかし、手間暇をかけるからこそ、『ガラス乾板写真』には特別な価値が宿り、撮る側も撮られる側も、一瞬に命を吹き込むことができます。
出来上がった写真を手に取ると、デジタル写真にはないガラス乾板写真特有の重み・深み・息づかいを感じることができるでしょう。
一度しか撮れないため、カメラマンと被写体は息を合わせて撮影を行う必要があります。この真実を映し出す『ガラス乾板写真』は、代々伝えられる技法として、私は子供の頃から学び続けてきました。
地域に根差し、五反田のパワースポットへ
岡崎写真館は昭和4年に創業し、今年で94年目になります。まずは100年続くお店に成長していきます。そして私が継ぐ4代目はできれば血族から出したいと思っています。そして、その先に150年200年続くような店にしたいと思っています。
そのためにも長年この五反田でやってきたので、地域の町の人達とのつながりを大事にし、お客様に直接ありがとうって言われることを代々受け継いできました。
お客様からここにくれば家族が幸せになる、受験、就活、婚活も成功する「五反田のパワースポット」と言われる店となるよう日々頑張っていきます。
また子どもの成長はあっという間で大きくなる前に家族の節目にきちんとした家族写真を撮っておくのは後々大切な思い出となります。
そう言った思い出の場、五反田で地域に愛されみんなのよりどころにもなれるように、いままでもこれからも町や地域の人々から愛される写真館であり続けたいと願っております。