経営者対談

株式会社 要堂 代表取締役
松本恭直 × ワクセル

今回のゲストは、映像制作を手掛ける株式会社 要堂(かなめどう)の代表取締役を務める松本恭直(まつもとやすなお)さんです。松本さんは19歳から映像の仕事に携わり、1997年に同社を設立。現在は映像制作をしながら東京・西麻布に『まほろば』という炭火焼き鳥屋も出店しています。

ワクセルコラボレーターでタレントの渋沢一葉(しぶさわいよ)さんと、ワクセル総合プロデューサーの住谷が、松本さんの仕事観やこだわりなどを伺いました。

セットで作られた異空間に衝撃を受け映像業界を目指す

株式会社要堂-代表取締役-松本恭直×ワクセル

渋沢:松本さんは幼少期から「映像の仕事に就きたい」という夢を持ち、実際に長年映像制作に携わっていらっしゃいます。映像に興味を持ったきっかけを伺えますか?

松本:幼いときに、家の近所にあった東映のスタジオに入る機会があったんです。セットを初めて見て、異空間を作っていることへの衝撃を覚え、「ここで働きたい」と思いました。美術や撮影にも興味を持って、映像会社やテレビ局に行けば自分の夢が叶うと思い、19歳のときにテレビ局でアルバイトをしていました。ただ、その頃は今と違って「テレビの仕事をやらせてやる」という風潮だったので、1カ月働いても小遣い程度しかもらえず、まるで丁稚奉公みたいな感じでしたね。でも、夢もあったんです。映像制作会社に勤め出してからはちゃんと給料がもらえるようになり、20代前半でも20万円、30万円とどんどん上がっていきました。

住谷:そこから起業されていますが、もともと起業願望があったのですか?

松本:まったく起業する気はなかったのですが、勤めていた会社が経営的にうまくいかなくなり、退職せざるを得ない状況になってしまったんです。特に行き先もなくて、ちゃんと給料をもらうにはどうしたらいいのか仲間に相談したところ、「自分でやった方がいいんじゃないか」と言われました。それがどんなに大変なことかわかっていなかったんですが、「映像の仕事はできる」という自負があったので、起業することに決めました。

会社設立から25年「ただ真面目にやり続けただけ」

株式会社要堂-代表取締役-松本恭直×ワクセル

住谷:映像制作の会社を立ち上げ、主にどのような映像を撮られているんですか?

松本:CM、音楽もの、企業もの、イベント映像など、今は映像全般をやっていますが、音楽が一番多いですね。ミュージックビデオだけでなく、最近ではライブでも映像を使うので、そういった映像も作っています。会社を始めた頃はMISIAさんの映像を作らせてもらっていました。たまたま知り合いの関係で出会い、MISIAさんの事務所の社長が良くしてくださったんです。あとはGLAYさん、水樹奈々さんなど本当に幅広く作ってきました。

ミュージックビデオは、本人やレコード会社が曲のイメージを強く固めていることがあるので、そのイメージを汲んで具体的に作ることを大事にしています。そのために話をよく聞き、理解を深めるようにしています。本人も知らないことをこっちで調べて、「こういうやり方もありますよ」って提案することもありますね。

住谷:会社を立ち上げ25年も続いているそうですが、これほど長く続けることができた秘訣を伺いたいです。

松本:秘訣はなくて、ただ真面目にやり続けただけなんですよ。これまで会社が潰れそうなときもあって、土下座してお金を借りたこともありましたしね。でも続けるってそういうことだと思います。必ず悪いこともあるけど、続けていくなかで未来が見えてきて、どんどん面白くなる。私は「カッコいいことをやろう」ってずっと言い続けてきました。

ここ数年は毎年従業員を増やすことにしていて、今は30名ほど在籍しています。雇用を増やすことは大変なことですが、後進を育てることを繰り返しやっていかないとダメだと思ったんです。雇用することが会社作りのベースだと考えているので、意識していますね。好きじゃないと続かない仕事なので、真面目で映像が好きな人を採用しています。

ずっとやりたかったことを形に、西麻布に焼き鳥屋を出店

株式会社要堂-代表取締役-松本恭直×ワクセル

渋沢:松本さんは映像制作をしながら、西麻布に『まほろば』という炭火焼き鳥屋も出店されています。なぜ飲食店を出すことになったのでしょうか?

松本:料理を作るのがすごく好きで映像制作の会社を立ち上げた頃から、ずっとやりたいとは思っていたんです。でも私は昔から器用貧乏で何をやってもそこそこな結果。複数のことをやるとどっちつかずでダメになる気がして、なかなか踏み出せずにいました。

でも起業して20年経って「もう関係ないかな、好きに生きよう」と思い、やりたいことには手を出すようになりました。タレントさんやさまざまな人と幅広く付き合いがあるので、気兼ねなく集まれる場所や自分たちが楽しめる場所があったらいいなとずっと思っていて、ようやくそれが形にできました。もうすぐお店を開いて丸5年になります。

『まほろば』という名前は私の母が提案してくれたのですが、昔の言葉で、“素敵な場所”、“人が集まる場所”という意味があります。昔はお祭りのときに『まほろば』って言葉が使われていたそうですよ。私の父は字がキレイなので、店のロゴを書道で書いてもらい、母と父のコラボレーションになっています。

「料理にもちょっとした驚きを」オリジナリティ溢れるこだわりメニュー

株式会社要堂-代表取締役-松本恭直×ワクセル 株式会社要堂-代表取締役-松本恭直×ワクセル 株式会社要堂-代表取締役-松本恭直×ワクセル

渋谷:本日は食事も用意していただいたのですが、どれも見たことがないような料理で目で見て楽しむこともできますね。

松本:『地鶏もも肉の雲丹(ウニ)乗せ』『レバーパテもなか』『TKG雲丹のせ』の三品をご用意しました。まず『地鶏もも肉の雲丹乗せ』ですが、こちらはもも肉を1日たれに付け込んでいるので柔らかく、だしの風味がきいています。海苔に巻いて食べて、磯の香りも一緒に味わってください。『レバーパテもなか』は、しっとりとしたレバーともなかのさくっとした食感が楽しめます。『TKG雲丹のせ』はご飯の上にメレンゲを乗せています。そうすることでふわっとして、見た目も楽しめ、ご飯は生姜とネギ、だしで炊いた炊き込みご飯になっています。

住谷:一つひとつこだわりを感じますね。こういうオリジナリティのあるメニューはどうやって思い付くんですか?

松本:お店のメンバーと一緒に「こんなメニューにしたら面白いんじゃないか」ってアイデアを出し合いながら作りました。『レバーパテもなか』は、イタリアンやフレンチでレバーパテをパンと一緒に食べることが多いので、「さくっとした食感を合わせるならお煎餅でもいいんじゃないか」などさまざまな案を出しながら、もなかに決まりましたね。

映像業界でエンタメの心得を持っているので、料理にもちょっとした驚きや楽しさを提供したいと思っているんです。映像を作るときも料理を作るときも“こだわりを持って最後まで丁寧に作る”そういう思いを持っています。

渋谷:やりたいことには積極的に取り組んでいるそうですが、次にやりたいことはありますか?

松本:お店を増やしていきたいという気持ちがありますね。『まほろば』の名前を使った、焼肉屋だったり和食屋だったり、たくさんのジャンルのお店があったら楽しいと思うんです。これまで自分がやりたいことを軸に行動してきましたが、それは今後も変わりません。ただ、経営者としての責任も感じているので、しっかりと後進育成にも努めながら自分のワクワクする未来をつくっていきたいですね。




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