バラエティプロデューサー「角田陽一郎」
× フリップアップ代表「池内裕啓」
× ワクセル主催「嶋村吉洋」
× フリップアップ代表「池内裕啓」
× ワクセル主催「嶋村吉洋」
角田さんはTBSテレビにて、TVプロデューサー、ディレクターとして主にバラエティ番組の企画制作をされてきました。2009年にはネット動画配信会社goomoを設立、映画『げんげ』監督、音楽フェスティバルの開催など、さまざまなメディアビジネスをプロデュースされています。2020年10月14日には『天才になる方法 本当に「頭がいい」とはどういうことだろう?』(大和出版)も出版され、さらなる活躍が期待されています。
池内さんは、要潤さんや奥菜恵さんなど多くの芸能人が所属する芸能プロダクション・フリップアップの代表を務められています。元々はトラック運転手をしていたところから、波乱万丈な人生を経て芸能プロダクションの経営者になられた経緯は、とても興味深いものがあります。
今回はこのおふたりに加え、ワクセル主催の嶋村吉洋を交えたクロストークとなっています。メディアの最前線をつくられている方々の面白く、学びの多い対談をお楽しみください。
どの業界でも、成功する人は義理人情を大切にしている
角田:僕が知る限り、池内社長は芸能プロダクションの社長のなかで1番いい人です。ただ、一般的に芸能プロダクションの社長は怖いイメージをもたれていると思います。その点について池内社長はどうお考えですか?
池内:角田さんのほうが知ってると思いますが、怖い人が多いからこそ僕がいい人に見えてるんじゃないですかね(笑)
角田:芸能プロダクションの社長は「怖い」、「ムリな注文をする」といったイメージがあるみたいですね。ただ僕がテレビプロデューサーをやっていて、芸能プロダクションの社長ともめたことはないです。なので、僕はそういうイメージをもっていません。どうして世間ではそういうイメージがあるんでしょうか?
池内:閉鎖的で、まわりからすると全く内情が分からない世界だからだと思います。そのうえ、雑誌やメディアは事実以外を発信することもあるので、「コワモテの社長」のように悪者扱いされやすい気がします。
実際に会ってみるとそんなに怖い人はいないし、変なことを言う人もいないと思いますよ。ただ、仕事のスタイルははっきりしてますよね。「やることはやる、やらないことはやらない」というスタンスではっきり言います。
角田:タレントさんは人間だけど、商品という一面もあります。そこがずれている人に対しては本気で怒る印象です。
池内:もちろんタレントを使い捨てみたいに扱われるのは怒りますし、使い手側のメリットばかり考えている人にも怒りますね。商売と一緒で、人を大切にしない人とはなかなか仕事がしにくいなと思います。結局、人が一番大事ですからね。
嶋村:わかります。僕自身も人間関係や義理人情を大事にやってきたつもりです。事業がうまくいっているときに協力してくれる方は多いと思いますが、角田さんは僕が大変な時期に協力してくださり、本当に感謝しています。そういう方と一緒に仕事ができることがとても嬉しいなと感じています。
池内社長と会食させていただいたときも、義理人情を大切にしているのがとても伝わってきました。やはり、そういう方が長期的に繁栄するんだなと確信したことを覚えています。
池内社長の独立はwin-winの関係
角田:池内社長がプロダクションを立ち上げたころの話を聞かせてください。
池内:前の会社の社長、谷口社長に出会ったのがきっかけですね。芸能プロダクションを手伝わないかと誘われ、手伝いに行ったところで要潤と出会いました。
それから社長のあと押しもあり、独立して起業しました。こうすることで、社長は「マネージャーを育て独立させた器が大きい人」、僕は「マネージャーから努力して社長になった人」となり、お互いハッピーになりました。結局、援助はお気持ちだけいただき自力で独立しました。
信頼は小さな積み重ねのうえに生まれるもの
嶋村:独立されて12年ほど、要さんと二人三脚で歩んでこられたと思います。以前「池内さんと要さんが新幹線に乗り、動き出すときには爆睡してしまっていた」というエピソードをうかがったことがあるのですが、詳しく教えていただけますか?
池内:それは独立する前の話ですね。当時、要は朝の連続ドラマとゴールデンのドラマという2本の撮影を同時にやっていました。早朝まで大阪で朝ドラの撮影をし、新幹線で東京に戻ってゴールデンのドラマの撮影をするという過酷な生活を送っていました。
大阪から始発の新幹線に乗り、8時半に東京駅に着くまでが貴重な睡眠時間でした。なので、新幹線に乗り込むとすぐ爆睡して、東京駅で掃除のおばちゃんに起こされるまで寝ていました。こういう経験を一緒に乗り越えたことが、要が僕を信頼してくれるきっかけになった気がします。
嶋村:なぜ池内さんと要さんは信頼関係を築けたのでしょうか?
池内:僕は信頼を一番大事にしています。「俺のこと信頼して!」という人ほど、信頼できないじゃないですか(笑)信頼は日々の小さな言動や行動の積み重ねでつくられるものだと思います。
最近は夢や目標をもたなければいけない、成功しないといけないという風潮がありますよね。しかし、それはノウハウの話で、人生や仕事においてはノウハウではなく心が大事だと思います。お金持ちになるのではなく、何かやりたいと思ったときに実行できる力や人脈、お金をもっていることが重要。
つまりは準備です。いきなり僕と知り合って、角田さんを紹介するよ!となったときに、角田さんをうならせるほどの準備をしているのか。
角田:僕は人脈だけあっても仕方ないと思っています。人脈が多ければ上手くいくと思っている人が多く、誰か紹介してくださいよって言ってくる人も多いです。そこで大切なのは、その人が紹介に値する人なのかどうか。
現代はSNSで繋がろうと思えば繋がれるので、紹介は必要ないと思います。その人がどんな人かはSNSを見ればわかります。なので、今までどう生きてきたかをちゃんとアーカイブする必要があります。ライブとアーカイブがあって、ライブは人生、アーカイブは歴史です。ライブは頑張っている人が多いですが、アーカイブに力を入れている人は少ないのでしっかり記載することをおすすめします。
角田:3年前、赤坂を歩いていたら池内社長と一緒にいるTBS時代の先輩に会い、その先輩の紹介がきっかけで池内社長と知り合いました。そのあともフェイスブックで繋がっていて、僕の投稿に対して、いいねをたくさんくれるんです。会ってはいなくても、僕の考えていることをわかってくれているはずなので、一緒に仕事ができるなと思いました。
嶋村:1個1個の小さな作業が大切ってことですね。
角田:そうですね。小さな積み重ねが、結果的に大きな信頼になります。
池内:いきなり大きな信頼を得るのは難しいじゃないですか。1つ1つのことを丁寧にやってきたからこそ、信頼してもらえたのかなと思います。
角田:僕がTVプロデューサーとして大事にしてるのは、相手が断れる余地を残しておくことです。オファーを受けたけれども断りたい場合、一番使いやすい理由はスケジュールNGじゃないですか。そのときに「いつなら大丈夫ですか?」と詰められると、返信したくなくなりますよね。
そこで、いったんひいて時間を空け、再度連絡をもらえれば検討しようと思えます。さらに、3~4回頼まれると、熱意に応えてオファーを受けようという気持ちになります。
池内:確かに、何回も頼まれると引き受けちゃうことはありますね。
成功者の共通点は謙虚であること
嶋村:どの業界でも、ある程度結果が出たところで傲慢になる人がいますよね。その反面、つねに謙虚な人もいると思いますが、その違いはどこから生まれると思いますか?
池内:傲慢な人も、もともとは謙虚に一生懸命やっていたはずですが、稼げるようになりどこかで感謝の気持ちがなくなるのでしょう。ある程度のステージまでいった方ならば、自分を俯瞰して見る力はあるはずなので、どこかのタイミングで気づくはずです。
角田:天才はみんな謙虚ですよね。尖っていることと謙虚は同居できないと思っている人が多いですが、同居できるんです。そこに気づいている人が天才なんでしょう。
どんなにすごいアイディアをもっていたとしても、それを世の中に広めるには他人の力が必要です。自分の尖ったアイディアを広めるには、「こいつの話になら乗ってやろう!」と思われる人になることが必要で、そのためには謙虚さが大事です。
池内:謙虚というのは自分を俯瞰で見えているということですよね。
嶋村:ダウンタウンの松本人志さんがビートたけしさんの番組にゲストとして出演したとき、収録後に深々とお礼を言われビックリした、という話をうかがいました。何かを極めている人はみなさん謙虚なんだなと確信が入るエピソードでした。
角田:明石家さんまさんは年末の収録終わりに「スタッフ何人いるの?」と聞いて、全員に1万円をくださるんです。ほかにも、スタッフが結婚したらご祝儀10万をくださることもあります。裏に「別れたら返せよ」と書いてあり、そんな受け取りやすくする配慮もとてもカッコいいんです。
ワイプ目線でものごとを見ると失敗は怖くない
角田:以前のテレビ業界は勢いがありましたが、今はYouTubeやAbemaTVの方が勢いがある。1番元気なところに優秀な人は集まるので、優秀な人はAbemaTVやサイバーエージェントなどに行ってしまいます。
嶋村:角田さんはTBSで四天王と言われていた中、時代を先読みして独立されていますよね。どのような思考で独立されたのかお聞かせください。
角田:僕はワイプ目線が大事だと思っています。ワイプは日本のバラエティにしかないものなんです。例えば、シマウマを追いかけているライオンが転んだ動画を観て、ワイプで芸能人が笑っているとします。あなたは笑われているライオンなのか、ワイプ側の人なのかが重要なんです。
ライオンだとしたら、シマウマを逃がして死ぬかもしれない。転んだことが致命傷なんです。しかし、ワイプ目線だと、転んでいる姿が面白いので、もっと大きく転んだ方がいいなと思えますよね。
僕は独立するとき、成功したら嬉しいし、失敗しても『TBSをやめて失敗した』という本を書けば売れるので成功だと思っていました。そのとき、損した金額が100万では売れない、10億、50億と大きく失敗するほど面白くなるので思い切ってやろうと思っていました。
運は努力で手に入れることができる
池内:成功するには運も不可欠ですよね。僕は奥さん・子供以上に要さんと出会えたことが1番ツイていたと思っています。コロナもチャンスで、みんなが動かない分ライバルが減っているんです。この辺は角田さんの『運の技術 AI時代を生きる僕たちに必要なたった1つの武器』(あさ出版)にも書かれていました。
角田:運の話をすると、「うん」と思ったら運がいいです。「ふーん」という人は運が悪い。ポジティブではなく、いいことも悪いことも「うん」と受け入れるんです。それがスターターや起爆剤になります。
以前、編集者さんに本の感想を送ろうとして「面白い」を「面広い」と打ち間違ったことがありました。偉い編集者さんだったのでヤバいと思いましたが、すぐに「面広い」という言葉が面白いなと思ったんです。
僕が面白いと思うものって「面広いもの」や「面深いもの」なんですよ。そこで、これから「面広い」という言葉を流行らせようと思いました。「失礼な文章を書いてしまった」と後悔するのではなく、「面白いを面広いと書いてしまったのですが、僕が面白いと思うものは面が白いんじゃなくて、広いものなので、この文章はまさに面広い文章でした。」と送りました。そうすると、編集長もなるほどとなり、さらにこうやって人に話すことで誰かが使えば、流行っていくかもしれません。
非常事態で大事なのは日々の義理人情
池内:情報を受け取るにあたって、レシーバーの能力を上げていくことが大事だなと感じます。YouTuber、セミナーなど、発信者は同じパワーで同じ言葉を発しています。ただ、レシーバーの能力が違うと同じこと聞いていても受け取り方が違ってきます。
角田:嶋村さんは新型コロナウイルスの影響下でも売り上げが伸びたとうかがいました。僕も仕事が増えたんですが、このような非常時は義理が大切になってくるなと感じました。非常時は知らない人と仕事がしにくくなり、知っている人としか仕事をしなくなります。なので、知っている人に普段からどれだけ義理を通していて、非常時でも一緒に仕事したいと思われるかが重要です。
嶋村:芸能人が不義理をしていると居場所がなくなってくると聞きます。TV業界から逃げざるを得なくなってほかの業界にいる人と、角田さんのように積極的に開拓している人が今は玉石混合になっていますが、潮が引いたら違いがはっきりわかるはずです。それは僕ら商売の世界でも一緒なので、これからもまっとうに仕事をしていこうと思います。
角田さん、池内さん、今日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。
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