段ボール×磁石の新発想ブロック『といろBOX』の考案者が語る「大人も遊べて親子の交流が深まる」

といろBOX 山口 智史

といろBOX 山口 智史

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山口智史(やまぐちさとし)さんは、会社員として働きながら『株式会社といろ』を立ち上げました。段ボールとネオジム磁石で作られたブロック『といろBOX』を開発・販売し、親子で遊べる新発想のコミュニケーションツールとして広く親しまれています。試行錯誤しながら『といろBOX』の普及に尽力する山口さんに、これまでの経緯と今後のビジョンを伺いました。

子供の段ボール遊びをきっかけに起業

見出し1画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_といろBOX_山口智史さん_子供と段ボール

私は今、会社員をしながら『といろBOX』という段ボールのブロックを販売する会社を経営しています。20代の頃から「いつか自分でビジネスをしたい」という願望はありました。とはいえ、実力があったわけでもなく、どう動けばいいのかも分からない状態でした。

こうしたモヤモヤを抱えながら毎日過ごしていたのですが、ある日、自分の子どもたちを見ていて、ふと「子どもは段ボールハウスが大好きだな」と思ったのです。そして「そういえば自分も子どもの頃、段ボールハウスが大好きだった」ということを思い出しました。

そこで「大きな段ボールハウスを作って親子で遊んだら面白いんじゃないか」というアイデアが思い浮かびました。それが『といろBOX』誕生のきっかけです。

今は『といろBOX』を多くの人に知ってもらうために、プロダクトの体験会やお披露目会をいろいろな場所で開催しています。地域のコミュニティ体験会として、イオンのイベントに参加したり、幼稚園にデリバリーしたり、こうしたイベントや活動を通して、認知を広げるための取り組みを進めています。

あとは、補助金を使って静岡県牧之原市の廃校施設でも、イベントを開催させていただきました。これが今までで一番大きなイベントでしたね。そのイベントが好評だったので、最終的にはその施設で『といろBOX』を購入していただきました。

今年の3月には、『といろBOX』を進化させるために『といろパネル』という新しいパーツを作りました。これは『ベンチャープラザ船橋』という施設のサポートを受けながら開発したものです。

その担当者から、みずほ銀行のビジネスマッチング担当者につないでいただきました。みずほ銀行の方も評価してくれて、さらに大阪にある『小泉産業株式会社』という会社を紹介してくれました。

小泉産業は、家具と照明を扱う企業です。この会社の方からも「面白い」といっていただき、小泉産業が参加する、東京ビッグサイトの展示会に『といろBOX』を置いていただきました。これからは、小泉産業に架け橋となっていただき、幼稚園や保育園などの施設に置いてもらえるように、ビジネスを拡大していく予定です。

親子が夢中になって遊べる『といろBOX』

見出し2画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_といろBOX_山口智史さん_ダンボール磁石の発送ブロック

『といろBOX』は、1辺が15cm角のダンボールのブロックです。その中に『ネオジム磁石』という磁石が、ダンボール面の各一面に1つずつ入っています。これによって段ボールが、上下左右に、それぞれ連結できるようになります。

パーツの形は、正方形や中方形、長方形、三角形の4種類が基本となります。『といろBOX』は、これらをくっつけることのできる、いわゆる“段ボールの積み木”のようなものです。

磁石の力によって上下左右にくっつくので、大人が入れるような高さまで安定して積むこともできます。子どもだけではなく、大人と一緒に造形物を作れるので、大人と子どもが一緒になって遊ぶことができます。

一般的なパズル式の一般的なパズル式のブロックであれば、あの小さな世界の中で完結しながら遊ぶことができるので、子どもたちは一人で遊ぶことが多く、親と一緒に遊ぶ機会が少ないです。『といろBOX』であれば、大きな家を大人と一緒に作ることができるので「お父さん一緒に遊ぼうよ」と誘ってきます。

大人と子どもが目線を合わせながら、一緒に造形遊びができるというのが、レゴブロックと違うところだと感じています。幼稚園で子どもたちに遊んでもらったときには、夢中になって遊ぶ姿を見て「子どもの原体験を作れたんだな」と思いました。

これまで遊んでくれた子どもたちからは「もっとたくさんのパーツを使って遊びたい」という声が多く寄せられています。また「理想の〇〇が作れました」という声もあります。子どもの想像力を育ませながら、親子の交流を深められるというのが『といろBOX』の魅力です。

『段ボール雪まつり』を開催したい

見出し3画像_嶋村吉洋社長が主催するワクセルのコラム_といろBOX_山口智史さん_段ボール雪まつり

私の理想は、小学校で『といろBOX』を作る遊びを浸透させることです。そのためにも、まずはより多くの人に知ってもらうことが必要です。そこで今は、イベントの集客ツールとしての活用方法を考えているところです。最近は、住宅展示場で使ってもらえないかアプローチしています。

また、これはまだ妄想段階ですが、白い段ボールを使って『ダンボール雪まつり』を開催したいと思っています。札幌の雪まつりみたいに大きな雪像を『といろBOX』で作れたらと考えています。2月に札幌で雪まつりが開催されるので、同時期に南国の沖縄で「那覇ダンボール雪まつり」を開催できたら楽しいんじゃないかなと思います。

あとは『といろBOX』をより進化させるために、バリエーションを増やしていくつもりです。3月に『といろパネル』という新しいパーツを作りました。『といろBOX』は15cmの厚さなのですが、それに対して『といろパネル』は、半分の7.5cmという厚さのパーツです。段ボールが薄いので、より動かしやすくなっています。

さまざまなパーツを組み合わせて、より自由で複雑性のある造形遊びが『といろBOX』でできるように、これからも楽しみながら試行錯誤を続けていきます。

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